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人々の心も揺れる大移動

 Mont Ventoux(モン・ヴァントゥ-)からの大移動が始まった。応援のためにツアーを組んでいる観客、大会関係者、各チーム、膨大な機材を運ぶテクニカルクルー、そしてプレス関係者。車で移動する人もいれば、TGV(高速鉄道)で移動する人もいる。山は下る人々で渋滞をしている。
 一足先にTGVに乗った我々はは、車輌の中で多くの関係者に会った。『あと1回』。関係者の中には、長かったツール・ド・フランス2009への思いにふけりながら、車窓をぼんやりとながめている人もいる。寂しいのに違いない。
 自転車に全てをかけて走破した選手、それを支えたクルー、応援を続けた人々、そして我々プレス。誰もが、もうすぐ終わる事への寂しさと悲しさを感じている。フランス人の私でさえそうなのだから、各国から来ている記者、カメラマン、リポーターは私以上だと思う。ツール・ド・フランス2009は、そうした劇的なドラマを持っている。

何もない山にあるもの

 Mont Ventoux(モン・ヴァントゥ-)がツールドフランスに登場したのは1951年のことだった。それ以後、いくつかの悲劇が起きたが、誰しもがこの山の山頂をめざすことをひとつのシンボルとしている。VentouxのVentは「風」の意味。この台地があらわになった山岳地帯に常に厳しい風が吹き荒れている。グーグルのEARTHを見てみると良い。マルセイユから上に移動すると、この丘が見えてくる。白く台地が剥がれている姿を見ることができるだろう。
 モン・ヴァントゥ-でのレースは、ツール・ド・フランス2009の中で最高の難しさと厳しさを持っている。ここを這い上がってきた選手たちには「やりとげた充実感と心地よい疲労感」が満ちあふれているのを感じる。
 だが選手たちの多くに笑顔はない。でも人生があった。

穀倉地帯を行く

 ピレネーを走行した選手たちはリモージュ(Limoges)で休暇を楽しんだ。この歴史のある街は選手たちを癒してくれたに違いない。ゆっくりと昼食を楽しんだり、クルーと会話をする選手たちの姿があった。
 そして今日。レースは穀倉地帯を北上するコースだ。途中からブルージュ(Bourges)の方向に走った所に、放射状に発展したきた町、イスデュン(Issoudun)がある。コース全体は平地。スピードが勝負の決め手になるが、意外と走行に注意が必要だ。
 すでに、牧歌的な穀倉地帯では、このレースを待ちわびているファンが沿線に多くいる。

ご滞在は?

 ラ・グランドモットは、地中海と海水湖にはさまれた素晴らしい街。「なにも、通り過ぎずに滞在すればいいのに」と言うのは、リゾートホテルのフロントチーフ。この街に多くの別荘やコンドミニアムを持っている人は多い。
 レース後、市内のレストランは満杯。どこもゴール風景の話題であふれていた。

ブイヤベースの本場から

 マルセイユからラ・グランドモットへのレースは、互いをけん制しながらの展開だった。海上貿易都市マルセイユから湿地帯を通って、地中海のリゾート地ラ・グランドモットまで美しい風景の中を走破する光景は、それだけでも感動する。プロヴァンスの素晴らしい舞台までもがツールを応援しているようだった。
 日本勢の活躍は、フランスのメディアだけでなく、世界中のメディアの的。これほど日本人が注目されたレースは無かっただろう。 ブイヤベースのおいしさもそこそこに、各選手は第3ステージから市内を走り回る第4ステージに向かう準備を始めている。

自転車を見れば・・・

 2日目のゴールとなっているブリニョールでは、コース沿いの装いとゴールの準備が完成したとの情報。コート・ダジュール、山間の街も大騒ぎになっている。
 話しによると、ツール・ド・フランスが近づくと、坂の多いこの街でも自転車がよく売れるらしい。

ツールとともにバカンスを

 既にバカンスが始まり始めたフランス。早い人は、ツールに合わせてバカンスを取り、フランス中を追っかける。こんな人が1万人以上いるのかも知れない。だから各地のホテルは満杯。モナコもニースも、一部カンヌまでも宿が足りない。

君たちのヒーロー

 一部の情報では新城が4位との話しもあったが、ゴール直前での接戦で5位。小柄な日本の選手の活躍に驚いている。
 モナコからニース、そしいカンヌの山側を通って小高い丘を疾走した選手たち。いくつかのクラッシュもあり劇的な競技となった。 ゴール付近では情報が錯綜しているが、君たちのヒーローは賞賛に値する。

レースの魅力を際だたせるモナコの街

 モナコでの第1ステージは、モナコ港の波止場の脇からスタートして波止場に戻るのが決まり。街中から高台に一気に走り抜く。コースは複雑にカーブが続くのでテクニックが必要だ。登り切った後は、ゴールまで下りる。いや、下りると言うよりは落ちる感覚。
 ここが勝負。いかに最良のコースをとるか、いかにスピードを落とさずに行けるかがポイントとなる。だから15.5キロなのに面白みに溢れている。チームでの駆け引きなど出来ないコース。だから個人TT。初日を飾るには素晴らしいコースだ。

楽しみを知る

 チームプレゼンテーションは、各チームが工夫を凝らして行う。ツール・ド・フランスの楽しみ方は「レースを楽しむ」「雰囲気を楽しむ」そして「スタートとゴールを楽しむ」、この3点。
 今回、モナコ王国がツール・ド・フランスをスタート地点として招へいしたのも、このプレゼンテーションとスタートに価値を見出したから。
 それに答えるべきドラマチックなプレゼンテーションだった。

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